同じ出身国が故に騙された
ある交流会で男性と出会った。同じ出身国ということもあり親近感がわいた。交流会と言ってもチンケな異業種交流会ではなく、それなりの社会的地位を持っている人たちが集まる交流会だ。そういうことも含めて男性への信頼は初めからあった。
何度か会っているうちに同志のように思い仲の良さは深まっていった。決してその男性と付き合いたいなどという恋愛感情はない。彼は飲食店を経営していて店舗を各地に出店している段階だ。ある時、彼が真剣に仕事の話をしてきた。ぜひ、貴方に出資をしてほしいと。彼が言葉にした金額は安くない。1000万円だ。今、現金が会社にないから現金が必要だと。とある地域に出店したいが敷金や内装工事をすることを考えると手持ちの現金では足りないとのこと。
私は数日考えさせてと言いその日は帰ったが、同じ国生まれということが眼鏡を曇らせた。次の日には1000万円出資するよと答えていた。そこから彼と連絡がとれなくなったのはすぐだった。数店舗あった飲食店も次々とつぶれていき、法人そのものも閉鎖してしまった。
彼の居場所を特定する為に興信所を頼った。しかし、彼の元の住所には別人が居住しており、住民票も移されてない。調査の途中で彼が既婚者だということも分かり、その線で探してもらうことにした。とりあえず妻の実家だけ特定してもらい、興信所の人から少し期間をおいて聞き込みをしましょうと言われたのでその通りにした。そこから数か月たったころ、聞き込みをしてもらった。興信所の人が言うには住所を教えるのは躊躇っていたそうだが、妻の勤務先が判明した。そこからは自宅を特定するのも難しくなく、その日中に自宅を特定することに成功した。
私はそのことを弁護士に相談し内容証明を送ってもらうことにした。彼からの返事は返したいけど今はお金がないということだった。今少しずつ返してもらってあと半分のところまできている。授業料としてはかなり高くつき、労力も半端なく使ってしまった。これからは誰にもお金を貸さないと決めた出来事だった。